村上芳正さんの絵を初めて見たのは三島由紀夫の『反貞女大学』の装幀だと思う。それ以来、気になって『幻影城』を創刊したとき、挿絵をお願いした。村上さんも僕が『定本　三島由紀夫書誌』（薔薇十字社）をつくっていたので、信頼してくれたのだと思う。
　村上さんの世界は人工的、装飾的な耽美世界なので、挿絵のほうも江戸川乱歩、日影丈吉、中井英夫、連城三紀彦といった特色ある作家の作品をお願いした。
　『幻影城』で「村上芳正の華麗な世界」という特集を組んだとき、たくさんの原画や資料を借りて、三島さんの直筆による「村上芳正賛」を掲載した。これは最新の『決定版　三島由紀夫全集』にも入っていない貴重な文章だという。三島さんが亡くなられて四十年経つが、いままた村上さんのお仕事に脚光があたっていることは本当にうれしい。村上さん、いつまでもお元気で！！